PNH情報など

最新の治療薬など

国内で使用されている抗補体薬補体阻害薬)一覧 (2024年PNH俱楽部製作)

販売者名をクリックすると外部リンクで(販売者による)薬の説明頁が表示されます。閲覧者の責任においてご覧ください。

※順不同 

薬の名前(商品名) 一般名 販売者(リンク)
ソリリス   エクリズマブ  アレクシオン
ユルトリミス  ラブリズマブ  アレクシオン
ユルトリミスハイ  ラブリズマブ  アレクシオン
エムパベリ  ペグセタコプラン  旭化成
ボイデヤ  ダニコパン  アレクシオン
ピアスカイ  クロバリマブ  中外
イプタコパン ファビハルタ ノバルティス

PNHの治療

ニュースレター「クローバー」27号(2020年)より転用開始 西村純一先生執筆(当会顧問)

 

溶血への対応

 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)溶血の治療薬として、抗補体C5抗体であるエクリズマブ(ソリリスR)が開発され、顕著な溶血抑制効果に加え、血栓症発症リスクの軽減、溶血に伴う平滑筋攣縮症状(嚥下困難、男性機能不全、肺高血圧など)の緩和など、様々な効果が示された。

 患者QOLや生命予後も劇的に改善し、妊娠・出産も検討可能になったが、髄膜炎菌感染症に対する対策の重要性が再認識されている。

 エクリズマブの改良型リサイクル抗体であるラブリズマブ(ユルトミリスR)も昨年承認され、これまでの2週毎の投与から8週毎に延長され、利便性は格段に向上した。現在(2020年寄稿時)、臨床試験が進行中である、同じリサイクル抗体であるクロバリマブ(SKY59)では、皮下投与、自己注射が可能である。 

 

骨髄不全への対応

 しかしながら、これらの補体阻害薬は、骨髄不全に対しては効果を示さないため、別個に治療の可否を検討する必要がある。

 エルトロンボバグ(レボレード)やロミプロスチム(ロミプレート)などのトロンボポエチン受容体作動薬が難治性の再生不良性貧血(AA)に奏功することが示され、AA-PNH症候群の血球減少に対しても効果を示している。

 

血管外溶血への対応

 また、抗C5抗体のような終末補体経路の阻害薬では、血管外溶血の出現が課題となっている。この課題を克服するためには、C3、FactorD、FactorBなどの近位補体経路を標的とすることが有効と考えられる。実際、C3阻害薬であるPegcetacoplanの成績を見ると、ヘモグロビン値の回復は、明らかに従来のC5阻害薬より良好である。ただし今後は、長期にわたる安全性に注視する必要がある。

 

 また、近々(編集部注2020年寄稿時)臨床試験が計画されている、FastorD阻害薬(Danicopan)FactorB阻害薬(LNP023)は、経口剤なので非常に魅力的である。ただし、古典経路を抑制しないので、単剤でPNH溶血を安定的にコントロールすることが可能か検証する必要がある。長期の安全性とともに、これらがクリアされれば、将来的には、第一選択薬となり得るかもしれない。このように、PNHの治療は選択の時代に突入した。

 

ニュースレター「クローバー」27号(2020年)より転用終了 西村純一先生執筆(当会顧問) 

編集部注)見出しや、文字への着色は編集部による。

編集部注)クロバリマブはピアスカイとして発売

編集部注)Pegcetacoplanはエムパべとして発売。

編集部注)FactorD阻害薬(Danicopan)はボイデヤとして発売。

編集部注)FactorB阻害薬(LNP023)はイプタコパンとして発売。

 

上記のほかにも、患者それぞれの症状や検査値に応じて処方される薬があります。

以下の一覧は、発作性夜間ヘモグロビン診療の参照ガイド(令和4年度改訂版)を参考に編集部が作成しました。一覧の右側の「掲載場所」とは参照ガイド内の該当する項目のページ番号です。

治療薬の名称など  PNH治療での使用目的  掲載場所
 副腎皮質ホルモン     溶血や溶血発作などへ。抗補体薬の登場後は副作用の大きさが考慮されるようです。

 23P

 輸血  溶血や骨髄不全などによる貧血に。  23P
 鉄剤や葉酸  溶血などによる貧血に使われる場合もあるようです。  23P
 ハプトグロビン剤  溶血などによる急性腎障害や血栓の合併の予防にとのことです。同じ目的で輪液で利尿促進など   24P
 免疫抑制剤  骨髄不全などへ。主に一次性骨髄不全型PNHにおいて使うようです。  24P
 G-CSF  骨髄不全型で好中球減少があり、重い感染症が合併した時に使うようです。  24P
 蛋白同化ステロイド  骨髄不全などへ使うようです。  24P
 抗凝固剤など  溶血などによる血栓症に使うようです。  24P
 造血幹細胞移植など  唯一の根治療法。PNH治療としてのエビデンスは蓄積されてないとのことです。  24P

※治療上の疑問や問題点は、診察室や医療相談会、個人相談などで専門医に直接ご相談ください。

 上記一覧は患者交流会などでの対話に役立ていただけたらと思います。

PNHとは

会報「PNH俱楽部だより」№10(2016年)より転用開始。西村純一先生執筆(当会顧問)

 

PNHの定義と特徴

PNHの定義が非常に簡潔に表されている論文を以下に示します。

 

「PNHの血液細胞は、補体を制御する蛋白であるCD55(DAF)、CD59がないため、感染等で補体が活性化すると、補体の攻撃を直接受けて赤血球は血管内溶血をおこす。これらの補体制御蛋白は、GPIアンカー型蛋白と呼ばれる特殊な蛋白で、この蛋白群を合成するのに必要な遺伝子であるPIGA遺伝子に異常がおこる病気である。再生不良性貧血を代表とする骨髄不全疾患と、しばしば合併したり移行したりする。血栓症は日本人(アジア人)では稀であるが、PNHに特徴的な合併症である。」

 

 血管内溶血と骨髄不全、血栓症がPNHの三大特徴といわれています。血管内溶血と血栓症は非常に密接に関係しており、溶血を補うために血液を造ろうとする反面、造血能力が低いという、相反する病態が混在しており、症状の出方や強さなどが患者さんごとに違うのが特徴的な疾患です。

 

会報「PNH俱楽部だより」№10(2016年)より転用終了。西村純一先生執筆(当会顧問)

そのほか(患者支援)

 各製薬会社から、PNH患者向けの支援サイトや公式LINEが用意されている場合があります。

 

 当会もこのホームページのほかに患者(会員)への支援としてLINE公式アカウントを開設しています。内容はこれからさらに充実していきますので、ぜひ今から、お友達登録を検討してください。    

 

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